又吉直樹著『劇場』読みました感想&実写キャスト妄想ー!
この記事にはネタバレを含みます。
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前作『火花』がめちゃくちゃ話題になったとき、話のネタに読んだところ、思いのほか出来が良くて驚かされたので、又吉先生の次回作をとても楽しみにしていました。
しかも新作は恋愛小説だというので、なおさら!
『劇場』単行本の発売日、仕事終わりに書店へ直行し、平積みになったその本を手に取り、奥付を見る。
初版であることを確認し、即決してレジに持っていく。
こんなにも発売日をワクワクして迎えることって、大人になってから久しい。
カバーを折らないように、本を汚さないようにしながら、大切に、大切に、又吉先生の言葉をゆっくりと味わいました。
嫌悪、焦り
読み始めて間もなくは、感覚を繊細に文章で表していくセンスに圧倒されつつ、あゝ、また同じような主人公か。と少しがっかり。
夢を追いつつグズグズしているサブカル男子を描くのが、又吉先生のスタイルなのだなー。
全体にトーンが低くて薄暗いお話なのに、ちょこちょこ笑いを挟んでくるのも、又吉先生らしさですよね。
遠足で教頭先生が枝を折って走るエピソードは笑えた。
恋愛の始まりと、盛り上がったときの楽しさ。それから倦怠感、関係が終わる悲しさ。
ひとつの恋の最初から最後までを丁寧に描いているけれど、永田には恋愛以上に大切な演劇があるから、恋愛小説を読んでいるという感覚があまりありませんでした。
沙希ちゃんを想う気持ちが、沙希ちゃんを失いかける最後の最後まで、ほとんど伝わってこないんですよね。
沙希ちゃんは本当にいい子なのに、永田がずっとクズで、どうしようもないヒモやし、中盤は読んでてイライラするくらいだった。
青田をメールで罵倒するシーンとか、もう限界で。
青田が言ってることが全部正論なんだよいいかげんしっかりしろーー!!!!って嫌悪感がムクムク。
又吉さんは読者を不愉快な気持ちにさせたいのか?って思うくらいだった。
でもまあ、人を不愉快にさせるくらいの文章を書けることが、すごいのかもしれないけれど。
沙希との関係が危うくなってから焦りだす永田には、どうしようもなく共感して、どれだけ後悔しても戻らない、上手くいかないという焦燥感で胸が苦しくなりました。
ラストシーンで沙希が観念して笑うから、望みがあるように終わっているので、あのあと二人がどうなったかは、読む人によって感じ方は違うだろうし、描き切らずに余韻を残しているあたり、シャレてるなーと思います。
私は、二人はあの日を最後に別れたと割り切ることにした。
だってもうどうしようもないくらい永田が関係をめちゃくちゃにしてしまったし。
沙希ちゃんには、まともないい人と出会って幸せになってほしい。
脳内実写化妄想キャスト!
フィクションを読んでいるときは、脳内で実写映像にして楽しんだりします。
個人的にイメージしたのはこの方々。
永田 又吉直樹さん
沙希 本田翼さん
青山 相席スタート・山崎ケイさん
野原 池松壮亮さん
小峰 SEKAI NO OWARI・FUKASEさん
主人公の永田は、もう又吉さんぽいところが多過ぎて、又吉さんとしてしか考えられなくなるくらいだったー!
サッカーゲームで文豪のチームをつくって遊ぶくだりとか、本屋で最初のページを立ち読みして買うかどうか決めるとか、それ、アメトーークの読書芸人でしゃべってたやつやん!!って。
作家本人の趣味嗜好を入れているあたり、全部とは言わないまでも、永田は又吉先生の分身みたいなかんじなのかも。
他の配役は、かなり自信がある!
特に小峰の愛嬌ある雰囲気と、作品で結果を結果を出しつつ妬みの対象になりそうなところはめっちゃフカセさんぽくないですか。
相席スタートの方はルックスのイメージで。
次回作も待ってます
感情を揺さぶられながら『劇場』を読み終えました。
あゝ、又吉先生、文学の楽しみを与えてくれてありがとう。
又吉さんの才能に触れ、そして彼の頭の中をまたすこし覗けたような気がして幸せな気持ちです。
次回作を書かれたなら、きっとまたワクワクして発売を待つのだろうな。
↓又吉さんへの愛を書いた過去記事あります↓